トピックレビュー解剖足関節・足部

#19 フットコアシステムとは何か?

トピックレビュー

足部は地面に接する唯一の部位であるからこそ、地面に立って何かをする動作に介入する際には必ず重視すべき要素である、とよく言われます。

足関節と足部は様々な人によって重視されていて、様々な介入の方法やコンセプトなどが論じられていますが、ここではMcKeon1による“Foot Core System”(フットコアシステム)を取り上げようと思います。

特記の無い限り、以下の内容は全てMcKeonによるレビューの記述に基づいています。

フットコアシステムとは何か?

フットコアシステムというのは、Panjabiによる脊柱の安定性に関するモデル2を足部に転用したものであり、次の3要素から構成されます。

  • Passive Subsystem
    ……アーチを構成する骨や足底腱膜、靭帯
  • Active Subsystem
    ……足部の内在筋と外在筋
  • Neural Subsystem
    ……足部の皮膚、筋、靭帯、関節包などに存在する感覚受容器

Passive Subsystem

これに関しては基本的な解剖学で明らかになるので詳細な説明は不要かと思います。
4(5)つのアーチ(内側縦、外側縦、前方横、後方横)を構成する骨とそれを支持する靭帯で構成されます。

個人的に興味深かったのが、このMcKeonのレビュー[1]でも引用されている、足関節・足部を距骨を頂点とする半球のドームに見立てるMcKenzie3の指摘です。

半球のドームとしての足関節・足部のイメージ。実際、足部の骨における骨梁ネットワークを描出すると、まさにこのようにドームのような走行になるとも指摘しています。
図はMcKenzie (1955)による。

足関節・足部をこのように見立てることはいくつかの利点があるとしています。

  1. 足関節・足部全体で荷重がどのように伝達されているかを容易に認識できる
  2. 歩行などに伴う足部の用いられ方に関する誤った概念を解消できる
  3. 扁平足に見られるような足部の変形に対する理解がより適切になる

詳細は原著[3]を読んでいただければと思いますが(2ページ程度と非常に短いです)、個人的にはアーチの考え方と合わせてこの考え方もすごく良いなーと思いました。

こう考えると距骨のオリエンテーション(位置や向き)は、足関節のみならず足部全体の機能においても重要な役割を果たしていると思えますね。

実際、慢性足関節不安定症(CAI)患者と健常者で距腿関節および距骨下関節の関節のオリエンテーションを調べたKleipoolらの研究4では、CAI患者において距骨下関節面の方で距骨関節面はより底側に傾斜していたことが指摘されています。

言うならば、距骨というものは上肢でいう肩甲骨みたいなものなんでしょうか。
肩甲骨もまたそのオリエンテーションが投球動作におけるインピンジメントの素因になるのではないか5とか、あるいはそのオリエンテーションの意識的な修正がその後の上肢動作に伴う筋活動が変化する6、といった研究があります。

ただ肩甲骨と異なる点が、距骨においてはそこに直接付着する筋が存在しないので、そのコントロールは常に間接的な方法にならざるを得ないというところですね。

Active Subsystem

これは足部に付着する筋とその腱から構成されます。
脊柱と同じように、ローカル筋とグローバル筋に分けて考えます。

  • ローカル筋 = 起始も停止も足部にある筋群
  • グローバル筋 = 下腿からおこり、足関節を通って足部に付着する筋群

筋の細かな解剖に関しては『プロメテウス』あたりを読めば詳細に書いてあるので、そちらを参照する方が良いでしょう。

足部内在筋(ここでは特に足底にある筋とします)の作用特性としては次の5つがあるとされます。

  1. 足部のアーチ保持
  2. 活動依存性の作用
  3. 負荷依存性の作用
  4. 相乗的な作用
  5. 足部機能の「スイッチング」

つまり、足部内在筋はそれらが協働して、体重の支持だけでなく歩行時の推進にも寄与しているというわけです。

実際、ランニングにおける足部内在筋の機能的意義などについても多く検討されています。
これに関してはTourillonらによるレビュー7を参照することをオススメします。

Frontiers | How to Evaluate and Improve Foot Strength in Athletes: An Update
The foot is a complex system with multiple degrees of freedom that play an essential role in running or sprinting. The i...

Neural Subsystem

このサブシステムには、足底腱膜や靭帯、関節包、筋や腱に含まれる感覚受容器が含まれます。

足底の皮膚に存在する感覚受容器が姿勢制御や運動に重要な役割を果たしているということはこれまでも多く指摘されていますが、内在筋由来の固有受容感覚もまた重要であることが指摘されています8

足底の皮膚の感覚受容器については、Strzalkowskiらによるレビュー9でその分布が詳細に説明されています。

足底の皮膚感覚受容器の分布。図はStrzalkowski et al. (2018)による。

ここで、FA/SAは感覚受容器の機能的特性を、I/IIというのは支配領域的な特性を表しています。

  • FA(Fast Adaptive)は変形に素早く反応し、その後すぐに活動が消失する。SA(Slow Adaptive)は皮膚の変形の間持続的に活動する。
    この性質から、特にFA型の感覚受容器が動的なバランスコントロールにおいて重要な役割を果たす[8]
  • type Iは明瞭な境界と小さな支配領域を特徴とし、type IIは不明瞭な境界と大きな支配領域を特徴とする。

いわゆる皮膚の受容器のうち、特に足底の感覚受容器として重要なものは、

  • Ruffini終末(SA II)
  • Merkel触盤(SA I)
  • Pacinian小体(FA II)
  • Meissner小体(FA I)

の4つです。

これらはその種類によって若干の差はあれど、上の図から明らかなように踵骨底面〜足底外側〜足趾底面にかけて多く存在していて、足底内側では比較的疎であるようです。

この事実は、足底のうち特に外側縦アーチと足趾からの皮膚感覚入力が姿勢制御などの運動制御において重要な役割を果たすことを示唆しています。

このような足底の感覚入力は足関節に作用する筋の活動に影響を与えますが、これは極めて領域特異的な反射反応であることが明らかになっています。

例えばNakajimaらの研究10では、第5趾底面から踵骨底面外側にかけて、足底外側を通って皮膚刺激の位置を少しずつずらしていくと、ちょうどその中間点で皮膚刺激誘発性の前脛骨筋・ヒラメ筋の反射反応が変化することが示されています。

刺激点(Stimulated site)は、1から9にかけて第5趾底面→踵骨底面外側となる。この図はヒラメ筋(Sol)、前脛骨筋(TA)、長腓骨筋(PL)の筋活動の記録であり、グレーになっている点が皮膚刺激誘発性の反射が生じた時間帯を指している。
図はNakajima et al. (2006)による。

すなわち、前足部足底を刺激した時にはヒラメ筋の活動が抑制されて前脛骨筋の活動が増強する一方、後足部に向かうにつれてその反応が逆転するというわけです。

この辺りは、特に慢性足関節不安定症などの神経可塑的変化があるような人だと特に重要になるのだと思います。

後記

ということで、今回は「フットコアシステム」という考え方に関する紹介でした。

じゃあこれに基づいてどういう介入をすれば良いの?という話もあったんですが、そこまで書いちゃうと膨大になってしまうのでとりあえずこの記事ではここまで。

気が向いたら評価や介入に関する話も書いていこうと思います。

References

  1. McKeon PO, Hertel J, Bramble D, Davis I. The foot core system: a new paradigm for understanding intrinsic foot muscle function. Br J Sports Med. 2015;49(5):290. doi:10.1136/bjsports-2013-092690 ↩︎
  2. Panjabi MM. The stabilizing system of the spine. Part I. Function, dysfunction, adaptation, and enhancement. J Spinal Disord. 1992;5(4):383-389; discussion 397. doi:10.1097/00002517-199212000-00001 ↩︎
  3. McKENZIE J. The foot as a half-dome. Br Med J. 1955;1(4921):1068-1069. doi:10.1136/bmj.1.4921.1068 ↩︎
  4. Kleipool RP, Stufkens SAS, Dahmen J, et al. Difference in orientation of the talar articular facets between healthy ankle joints and ankle joints with chronic instability. J Orthop Res. 2022;40(3):695-702. doi:10.1002/jor.25068 ↩︎
  5. Mihata T, Jun BJ, Bui CN, et al. Effect of scapular orientation on shoulder internal impingement in a cadaveric model of the cocking phase of throwing. J Bone Joint Surg Am. 2012;94(17):1576-1583. doi:10.2106/JBJS.J.01972 ↩︎
  6. De Mey K, Danneels LA, Cagnie B, Huyghe L, Seyns E, Cools AM. Conscious correction of scapular orientation in overhead athletes performing selected shoulder rehabilitation exercises: the effect on trapezius muscle activation measured by surface electromyography. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(1):3-10. doi:10.2519/jospt.2013.4283 ↩︎
  7. Tourillon R, Gojanovic B, Fourchet F. How to evaluate and improve foot strength in athletes: An update. Front Sports Act Living. 2019;1:46. doi:10.3389/fspor.2019.00046 ↩︎
  8. Viseux FJF. The sensory role of the sole of the foot: Review and update on clinical perspectives. Neurophysiol Clin. 2020;50(1):55-68. doi:10.1016/j.neucli.2019.12.003 ↩︎
  9. Strzalkowski NDJ, Peters RM, Inglis JT, Bent LR. Cutaneous afferent innervation of the human foot sole: what can we learn from single-unit recordings? J Neurophysiol. 2018;120(3):1233-1246. doi:10.1152/jn.00848.2017 ↩︎
  10. Nakajima T, Sakamoto M, Tazoe T, Endoh T, Komiyama T. Location specificity of plantar cutaneous reflexes involving lower limb muscles in humans. Exp Brain Res. 2006;175(3):514-525. doi:10.1007/s00221-006-0568-6 ↩︎

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